看護師として働き始めて3年目。
この間で、患者さんの命を預かる責任の重さや、日々の業務に追われる忙しさを実感してきました。
看護師は人の命を守る尊い仕事ですが、その裏にはストレスや心身の負担があります。
以下、私自身の経験をもとに、看護師の大変さや、その中でどのように対応して来たのかをお話しします。
看護師を目指す学生さんや、看護師になったばかりの人に、少しでも共感や励ましを届けられれば幸いです。
刻々と変化する優先順位の判断
状況は刻々と変化します!適切な優先順位の判断がとても大切。
これは主に急性期外科で働いていた時に思っていたことです。
日勤で5人~6人患者さんを受け持って、
「○○さんに何時に何の点滴がある」
「何時に○○さんが退院する、入院する」
「何時に○○さんを手術に出す」
「何時までに~」
など時間で決まっていることがたくさんあり、そこで優先順位を決めてこなしていくのがとても大変でした。
これらのことをこなすだけならやりやすいのですが、この合間にイレギュラーなことが起こります。
「点滴投与しようと思ったら、留置針が血管外漏出していて血管確保からはじめなければならない」「ナースコール取ったら患者さんが大失禁していて処理しなければならない」
など予定外の出来事がありながらも、優先順位を適切に行って、抜けることなく粛々とこなしていく必要があります。
嫌でも段々要領がよくなっていきます!!
アセスメントの向上
アセスメントは、看護師として、患者の状態を早く的確に知るための大切な技術の1つです!
看護学生時代から、アセスメントアセスメントって言われます。
患者さんの起こりうるリスクや、その患者さんにとって必要な看護は何なのか、それが合っているのか、患者さんの訴えは何からきているのか、原因は何なのか、緊急性があるのかなど考え行動していきます。
1年目の頃、「お腹が痛いの」と訴える患者さんに対して何もアセスメントをせず先輩に報告したことがあります。
先輩は怒らず「そしたらどこをみればいいかな?腹部の聴診はした?排便状況は?」と私にアセスメントするよう促してくれました。
そこで何も考えず行動している自分に、はっとした記憶があります。
また、アセスメントをするには知識も必要です。
ベテランの先輩でも、「知らなかったこと」が原因でインシデントレポートを書いているのを何回か見たことがあります。
レポートを見ることでありがたくその度に私は早めに知識を獲得することが出来ますが、ベテランになっても知らないことは知らないし、そのことで間違った看護をしてしまう、気を付ける必要があるけど気を付けきれないのを感じます。
認知症・せん妄患者への対応
ほとんどの認知症の患者さんは、表情が豊かで、愛おしいです。
ほっこりな意思表示をしてくれたり、ありがとうとたくさん言ってくれたり。
以下は、認知症・せん妄患者さんのなかでも一部の患者さんです。
重度の認知症患者のケア
転倒リスクありながらも静止が効かず歩き出してしまったり、トイレの場所が分からなくなったりする方もいて。深夜に尿意を感じた患者さんがベッド脇のゴミ箱(紙袋)に排尿しているのを見かけたときは、もう「そこはトイレじゃないです!」と止めるのをあきらめ見守りました。
その患者さんは何回も繰り返すのでいくら掃除しても部屋中は尿臭がすごい。なんかもう海のにおいに近かったです。
ただし、暴力的ではないので安心して対応できます。
力が強く暴力的な認知症、せん妄患者のケア
力の強い認知症、せん妄患者さんはもう大変。急性期外科では身体拘束をすることもありますが、そのつなぎをも引きちぎってしまう患者さんがいます。
そういう患者さんは止めようとすると暴力を振るってくる方が多いです。
患者さんの気持ちになってみたら当たり前だなとは思いますが。
わけわかんなくなっている状況なのにもかかわらず、さらに無理やり知らない人から大人数で抑え込まれるのはすごく怖いですもんね。
緩和ケアでは拘束はしません。
そう簡単に動かない重たい机を患者の前において止めますがそれでも静止できない、手を出すと殴られ引っかかれます。
看護師3人程で押さえ、1.2人が精神薬の準備をして、と対応に追われます。
ただ混乱してせん妄になる方もいますが、緩和ケアでは激しいがん性疼痛から身の置き所が無くなり、静止が効かない方もいます。
「薬をたくさん投与してどうなの?」という意見もあるかもしれませんが、痛い、苦しい、身の置き所がない患者さん自身もつらいです。
また、元々体力が低下している状況のなか、めいいっぱいの力を振り絞っていることで疲労感もあるはずです。薬で痛みを取り、体を落ち着かせるのも必要な措置の1つです。
まとめ
最初は大変ですが、経験を積むこと、チームで対応すること、で解決できることがほとんどです。
看護師として3年間働いているだけでもたくさんの「大変なこと」を思い出すことが出来ます。これらはほんの一部です。
知識や経験を身に着け、時にはジレンマを抱えながら、患者さんの安全安心安楽、また医療者の安全を考え、これからも大変なことを協力し合って乗り越えていきたいです!